軟弱地盤だから地震に弱いという方がいらっしゃいますが、地盤の良し悪しは家の建築基準で判断されており、一般的に3~5t/㎡以下かどうかで良好地盤・軟弱地盤と分けられています。
5t/㎡程度の地耐力では地震の力の大きさからみれば微々たるもので(3t/㎡は人が片足立ちしたくらい5t/㎡は人がつま先立ちをしたくらいが地面に与える力です。)、軟弱地盤でも良好地盤でも震源に近ければ近いほど揺れます。震源に遠くなればなるほど、地震の力を地盤が吸収し、揺れは減少します。
軟弱地盤だから揺れやすいというのは誇張表現で、答えとしては軟弱地盤でも良好地盤でも地震による揺れは殆ど変わません。但し、震源から遠くて小さくなった(3~5t/㎡以下の力まで小さくなった)場所では地震の揺れで揺れの差は生まれます。但し、震度1以下の場所で揺れる・揺れないくらいの僅差です。
しかし、軟弱地盤の方が地震の被害が多数発生しているとマスメディアが報じており、『軟弱地盤⇒地震の被害を受ける』と思っている方が多数です。
実際は軟弱な地盤上でも家がそのままだったり、良好地盤上でも倒壊している家があったりしています。正解は地震の揺れに弱かった家は倒壊し、地震の揺れに耐えた家は残った状況です。
実際は『耐震性の高い家は地震に強い』です。
尚、軟弱地盤が原因で家か倒壊するメカニズムとしては
①『軟弱地盤⇒建物が不同沈下⇒建物の耐震性能の低下⇒建物倒壊』
どんなに耐震性能の高い家を建てても、建物が不同沈下していれば、建物の歪みから耐震性のは著しく低下します。不同沈下のパターンにもよりますが、5/1000の不同沈下で、柱・梁等の接続部分が緩くなり、耐震性は1/10くらいになってしまいます。
その分、良好地盤より、軟弱地盤の方が不同沈下で耐震性が下がった建物の分、倒壊の被害数は増えてしまいます。
②『含水の高い砂質土地盤≒軟弱地盤⇒液状化』
地震による液状化は砂質土・礫質土でしか発生しません。(粘性土のような粒子の小さい粒では高速での振動でなくては水と粒子の分離が発生しません。)それも、液状化の原因である水を含んだ砂質土・礫質土で発生します。水を含んだ砂質土は軟弱になる傾向が高く、軟弱な地盤⇒液状化しやすいと勘違いされています。
良好地盤でも含水の高い砂質なら地震による液状化は発生します。
マスメディアが『液状化したんだから軟弱地盤だった』と報じるので、勘違いしている状況です。
では、地震による建物崩壊を防ぐにはどうするのか、
①耐震性の高い家を建てる+不同沈下を防ぐ
良好地盤なら、改良工事をしなくても不同沈下は防げますし、軟弱地盤なら改良工事等の地盤対策を行い、耐震性の高い家を建てることで震度7の地震による倒壊を防げます。
②水位の低い土地を選ぶ、または、液状化による水の噴出が発生しない程の地表面が厚い粘性土でおおわれている土地に建築するしかありません。※日本では殆どの場所で砂質土層は存在します。
または、液状化しても建物が持つよう、杭工事等を行うことが必要です。
軟弱地盤だから地震に弱いと思いがちですが、軟弱地盤と良好地盤へ地震に対しての差は殆どさがなく、何ら策を講じない良好地盤より、対策をしっかりした、軟弱地盤の方が安全が高くなることを憶えておいていただければと思います。
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